2013年8月19日月曜日

「孤独」の意義

 8月。見ようと思っていた映画も見に行かずに、禁欲的に論文執筆の準備。授業がないと、勉強している感じになる。ほんと、「夏期研究期間」なんですよ、「夏休み」ではなく。

 必要があって読み返している文章で次のハイデガーの言葉に突き当たった。この数年、強く思っている「孤独」の意義。孤立してはいけないが、孤独を確保するのは、現代にあって必須のことである。

 「都会人はしばしば山々の農夫の間での長く単調な独居に驚かされる。だがしかしそれは独居では少しもなく、孤独ということなのである。大都会で人間は、他のいかなるところでもないほどたやすく、一人であることができる。けれども彼はそこでは決して孤独ではありえないのだ。というのは、孤独は、根源的な力をもっているからであって、この力は、われわれをばらばらにしてしまうのではなく、現存全体をいっさいの事物の本質の間近に解き放つのである。」(ハイデガー「なぜわれらは田舎に留まるか?」、矢代梓訳、『30年代の危機と哲学』、平凡社ライブラリー、p. 131)

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